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2009
01.15

爺ちゃん、すべる

Category: 未分類
五 風を起こす

山のほうに住んでいる知り合いの家に行ったときの話だ。
といっても、俺の住んでいるところも山だから、もっと山の上のほうってことだな。
俺の前を一人の爺ちゃんが歩いていたのよ。
腰まげてゴム長靴ズルズル引きずって。
野良仕事でもしてきた帰りだったんだべな。はけごを腰に付けてた。
下り坂だった。
俺は何とはなしに見ていたよ。
そしたら、いきなりだった。
爺ちゃんがツルンとすべったのよ。
あっという間だった。目の前で転んだんだ。
だけんどよ、問題はその後だった。
くるんと一回転して、気づいたらまた同じように歩いてたのよ。
何にもなかったかのようによ。スタスタ行っちまった。
俺は爺ちゃんが転んだ場所に行ってみたよ。
固土に石ころが転がっている普通の山道だったけんど、転んだような形跡はなかったんだよ。
立つ鳥跡を濁さずっていうけんど、爺さんも跡を残さなかった。
しばらくそこに立ってたよ。そこにいるとよ、何かふーっと力が抜けてくるっていうか、どこかしみじみとしてくるっていうか、そんな気分になったんだ。
俺は思ったよ。
その爺ちゃんは跡を残さないで、その場に何かしらの風を起こしたんだなって。

すべることで風を起こす。
俺の動法の原風景になってるなゃ。
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