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トマトが歩き出した

二三〇 生む

2 節で進む

トマトをもぐ作業はビニールハウスの中で行われます。日中はハウスの温度が軽く4、50度になるので早朝行います。
ミニトマトはハウスで吊るされて成長していきます。茎が横に伸びるように、垂らした麻紐に固定していきます。

どこの世界にも枠を飛び出す輩たちがいるもので、どう潜り抜けてきたのかハウスの地面の隅の方で勝手に自生を始めるトマトがあります。彼らは自力で地面を這っていきます。放っておくと、あっという間に広がっています。

先日、吉野拾遺という葛菓子をいただきました。向田邦子のエッセイにも載った銘菓だそうです。
菓子箱に葛の説明がありました。
「葛は伸びた蔓の節が土に触れたところから根を下ろし、新しい個体をつくる。葛は移動するともいえる」
先の山葡萄の話も合点がいきました。
トマトも移動するのだ、と思いました。
節はその重要な役目をしている。
実際、茎を見てみると、ところどころに根が生えていました。ここが節なのだと思いました。

歌にも節があります。こぶしを回すという言葉もあります。
こぶしは小節で、母音の強弱高低を駆使して、息継ぐ手前を豊かに彩ります。
そうやって先へ進んでいきます。
息継ぎの節目は、母音なる母が、新たな生きものを作り出していく、お産場なのかも知れないと思った次第です。
 
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テーマ : 思うこと - ジャンル : 学問・文化・芸術

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まとめ【トマトが歩き出した】

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