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2010
07.28

パトカーをしたがえる

Category: 未分類
一七五 後ろへ引かれるように進む

完全に寝坊した。
娘もいっしょに寝坊した。
呆然とした。
通学の汽車はとうに行ってしまった。


車で高校まで送ることになった。
片道40分。
しっかりつかまってろよ、とばすから。
わかった。
思い切りアクセルをふかした。

大通りに出た。
運がいい、今日はすいている。
目の前には車一台いない。
田舎のバイパス道は信号機もない。
よし、とばせるぞ。

でも待てよ。いつもと何かが違う。なんだ。


バックミラーが目に入った。

白と黒の車がいた。

最悪だ。
パトカーのまん前に入ってしまったのだった。


どうする?
どうしようもない。
高校へはこの道しかないのだからよ。
観念するしかない。
パトカーを離さないように進むしか道はないのだ。

前には広大な大地が広がっている。
何の障害物もない。
なんでもできるはずなのに、自由なはずなのに。
今の俺はなんて不自由なんだ。

前を見ていても後を見ている気分だ。
背中がうずうずする。
パトカーに引っ張られている。
娘の様子も気になる。
「速く行ってけるって言ったべー!」
「今とばしたら、警察に捕まってもっと遅くなっぺした」
父と娘の小さないさかいが始まる。


くそったれ。


ふと思った。

この状況。
なんかと似てるんでないかい?
ほう。
日本の伝統的な動作と似ているんでないかい。

重いものは軽いように持ち、
熱いものは冷たいように扱い、
前に行くときは後ろに引かれるように進む。

これはまさしく日本の文化、順逆拮抗の状況だ。

ほう、そうか。
それに気づいたからには、運転版順逆拮抗に思いっきり堪能するしかないべした。


俺はもう、この状況にどっぷり浸かることにきめたは。


パトカーに引っ張られるように前に進む。
後ろと前のバランスの妙が、なにやら時空を歪めてしまうような、ちょっと不思議な気分にさせる。
いやはや、これは至福の時間だったなあよ。
自分の中に力がたまっていくって感じもある。
ええぞお。


娘は「もうパトカーいないよ」とせかすけんど、娘よ、この感覚は遅刻以上に大切なものなのだよ。
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