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2010
04.07

闇へいざなう乗り物

Category: 未分類
一六一 向かい合う

夜行バスで北へ向かってると、丑三つ時くらいに冷え込んできたなよ。
窓側だったから、特にそうだったんだべね。
窓に隙間があるわけでもねぇのに冷気が入ってくる。
「寒いときは気軽に伝えてください」
運転手はアナウンスしたなよ。
・・・気軽に、できないべぁ。
俺はじいっと耐えることにした。
眠っちゃえば結構あったかくなること知ってっからよ。
げんど今回はうまくいかながった。
頭が覚めて仕方なえ。
しょうがないからカーテンをめくった。
そして冷気の源の、窓ガラスに向かい合ったなよ。
外は暗かった。
路肩に堅雪がころがってるのがうっすら見えた。
遠くの空、雲が厚いのもわがった。
昔の人はこんな雲空、何て呼んだんだべ。
夜の好きな人種だったんなら、きっと名前みたいなもの、付けてるはずだ。
飽きないで見詰めったった
見つめれば見つめるほど自分の内に入っていける。
この窓があるから、見つめていられるんだべね。
窓がなかったら、寒くていられない。
なんて考えてたら、寒さがどっかに行ってたな。
さっきまで寒がっていた自分もいなくなっていたな。

試しに、またカーテンを閉めて前の体勢に戻ってみた。
あっという間に寒さが戻ってきたなよ。
んだからもう一回、カーテンをめくったな。
冷気が顔にあたる。
あたるけども寒くない。
・・・これは面白い。
寒さが消える。
・・・不思議だなぇ。

自分のからだでどうだべ。
思わず手を見つめてみたなよ。
じいっと見つめてみたなよ。
薄暗い手はけっこう魅力をもってるなっし。
ナイスな表情を持っているんだなし。
懐かしい雰囲気もあるなし。
昔の人のとこを考えた。
手作業が主流だったころの昔。
夜なべ、という言葉が生きていた時代。
暗闇にふっと浮かぶ手、これを肴にあれこれ考えると・・・飽きなぇなあ。
これを昔の人は別の言葉で、なんか表わしていないんだべか。
そんなこんなしているうちに、手だと思っていた感覚がどんどん消えてった。
キメの細かい振動が覆ってきたように思えてきた。
息しているし、手が勝手に生きようとしったった。
別の生物で、もう手ではなくなってたった。
ほうほうほう。
試しに目をそらしてみたごで。
そしたら、やっぱりいつもの手に戻った。

しっかり向かい合うと今まで感じていたものが消えるなだ。
消えて何かと出会えるなだ。

こんどは夜行バス本体に向かい合うことにしたな。
いままでは早く着かねかなぁと思ってただけだったからよ。
バスのことなど何も考えずによ。
エンジンの音、車輪の速度、タイヤの接触感覚。対面の風・・・

闇があまりにも深すぎて、俺はいつのまにか眠ってしまってたなだ。

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コメント
私母土さんへ

蝋燭のあかりだけで筆をとるってええなっし。イメージが湧くなっし。その人の内実が伝わってきそうだなっし。

真夜中の住宅街、暗闇が優しいって知らなかったっし。
これは凄いこと聞いたなっし。
早速いってみるなっし。

それで思い出したっし。
昔、バイトの後輩が俺に打ち明けたんだっし。
自分の趣味を。
珍しい特別な趣味だったなよ。
「素っ裸になって夜中の街を走るんです。
とても気持ちがよくて体中に力がみなぎってくるんです」

彼の暗闇が優しかったかどうか分からないけんど。

仲右エ門dot 2010.04.10 09:17 | 編集
どこかの国の有名な女性作家は蝋燭のあかりだけで執筆活動を
していたとか。もちろん電気も通っていたとは思うのですが、きっと
彼女も手が生きてくる感覚をしっていたのかもしれないですね。
暗闇といえば、十代の頃、よく真夜中の住宅街を一人でうろうろ散歩してました。
暗闇が優しく感じたからだと思います。
私母土dot 2010.04.10 00:07 | 編集
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