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2009
09.13

石文(いしぶみ)

Category: 未分類
一一九 自らを見つむ

石山の石より白し秋の風

秋といえば月、紅葉、そして石だな。
秋は石の姿がいちばん美しくてよ、本分が滲み出ている気がするなよ。

でもよ、本当はよ、いつの季節でもそれぞれに綺麗なはずなんだべげんどね。


夏半ば、6年生の親子行事で石文体験というのをやったなだ。
俺が段取りと進行役になってよ。
川原から石を1000個拾ってきて、体育館に川のように並べたなだ。
はじめに目をつぶっていろいろな石に触れてもらった。
「最初は練習だ。まず子どもたちからすっぺ。目をつぶって白い石をみつけてみろ」
「えーー!」
いい反応してけるなあ。
「できないと思うべ。それがよ、できる人はできるなだ。
勘だな、勘。目に見えなくてもよ、みんなには勘という能力があるべ。勘がいい奴には分かるんだ!」
そんなこと言われると子どもたちは一生懸命になる。
そのうえ目をつぶって石に触れたことなどないから余計だ。
「じゃあ次は、優しい、と思う石を見つける、目をつぶってだぞ」
「ええーー」
どんどん難題をぶつける。
「じゃあ次は、明日、という感じの石だ」
「ええーー」
これとおんなじことを保護者の方々にもやってもらう。
「ええーー」
みんな素直だなっし。
「じゃあ次は、これが父ちゃん母ちゃんだって思う石」
「次は、これが自分、っていう石」
みんなどんどん慣れてきて、「えーー」もなくなってきた。
「そろそろ本番してみっか。それとも、もうちょっと練習してみっか」
「本番する!」
「でもよ、この本番はよ、ちょっと怖いぞ。石の中にひそんでいる力を借りるような実習だからな。
ここにある石たちはよ、もう何億年も前から地球にいるんだ。いろんな時代の空気を吸って、今ここにやってきてる。もしかしたら江戸時代のみんなの先祖が川原で石投げした、その石かもしんねえ。もしかしたら、縄文時代の女の子が何かの願いを込めて埋めた石かもしんねえ。だからよ、ここの石たちにはたくさんの何かが詰まっている。その石を相手にしての実習だ。真面目にしないとたたりにあうかもしんねえ。
それによ、これからする実習は一生に一回しかできない実習だ。それでもやるか?」
「やるやる」
準備は整った。
「んじゃ、始めるべ。
まずよ、目をつぶってよ、父ちゃんお母ちゃんに、自分が今、一番伝えたいことを思い浮かべてみるんだ。
そしてよ、決まったらよ、その思いとぴったしっていう石を探すなだ。
石を拾って触れて、感触が違っていたらまた探す。とにかく納得するまで探す。
じゅうぶん時間とってよ。
石が決まったら、その石を父ちゃん母ちゃんのところに持っていて渡す。
父ちゃん母ちゃんは渡された石にどんな思いがあるのか感じて、こんどは自分の思いの石を探して渡す」
俺と先生がデモンストレーションをした。まじめにした。
「質問ある人?やってる最中はみんな黙っておこなうから、口きけるのは今だけだ。分からないことがあったら今聞いてけろや」

「父ちゃん母ちゃんはこっちの離れたところに後ろ向きに目をつぶって待っててけろな。
じゃあ、はじめっぺ」
俺がそう言うと、子どもたちは石を探し始めたんだ。
真剣なまなざしでよ。
誰もへらへらしてない。
石を拾っては置き、拾っては置き、ゆっくり歩きながら石たちを見つめ続ける。
友だち同士でいる子はいない。
みんなひとりになっている。
ひとりだった。

俺はボーっと見ったったなだ。
子どもたちの姿が綺麗でよ。
歩きながら探す姿も、立ち止まって見つめる姿も、かがんた姿もそうだった。
親に渡す姿も美しかった。

これってなんなんだべね。
石の中に何があったんだべ。

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コメント
蜜を求める蜂さんへ
石文に参加していたお母さんが話してた。
「昔、ばあちゃんに、蛇が来るから家ん中に石を持ってくるなって言われた。けれども、もし蛇に触ったらお金が入ってくるからそんときはその手は大事にしなけりゃいけない、とも言われた」
順逆拮抗だなっし。
仲右エ門dot 2009.09.15 23:34 | 編集
畳の上以外でも楽しそうな稽古が行なわれていますね。
蜂を求める蜜dot 2009.09.15 20:04 | 編集
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